立体駐車場を導入することで、限られた敷地であっても複数の車両を駐車できるようになります。ただ、立体駐車場にはどのような種類があり、建築にはどれくらいの費用がかかるのか気になる方も多いでしょう。そこで、今回は立体駐車場の種類に加え、建築にかかる費用について解説します。ぜひ参考にしてください。
CONTENTS
立体駐車場の種類
ひとえに立体駐車場といっても、大きくわけて「自走式駐車場」と「機械式駐車場」の2つの種類があります。
ここでは、自走式駐車場と機械式駐車場の違いや特徴について詳しく見ていきましょう。
自走式駐車場
自走式駐車場は、車両の出入りや駐車をドライバー自身がおこなう方式の立体駐車場です。通常、複数階の構造となっており、ドライバーが車を運転して空いているスペースを探して駐車します。
エレベーターや機械を使わず、すべて人の手による操作で完結するため、比較的安価で維持管理がしやすいという特徴があります。限られた敷地でも複数の車両を駐車できることから、都市部などで多く見かけるでしょう。
機械式駐車場
一方、機械式駐車場は、車を自動で格納する仕組みを持った立体駐車場です。
ドライバーは車を駐車位置に停めるだけで、機械が車を自動的に指定されたスペースに移動させてくれます。この方式では限られたスペースを最大限に活用できるため、都市部の土地が狭い場所でも効率的に駐車場を設置できるメリットがあります。
また、自動化によって駐車操作をスムーズにおこなうことができるので、ドライバーは車の出し入れを手動で手動でおこなう必要がありません。限られた敷地でも設置することができるうえ、同じ敷地面積であれば自走式駐車場よりもたくさんの車両を停めることが可能です。
機械式駐車場には複数の種類がある
立体駐車場には自走式駐車場と機械式駐車場の2つの種類があります。ただし、ひとえに機械式駐車場といっても、ピット式や昇降横行式、エレベーター方式や垂直循環方式などの種類があります。
ここでは、機械式駐車場の種類について詳しく見ていきましょう。
ピット式
ピット方式の機械式駐車場は、地下構造を活用した駐車場です。パレットに車を乗せて駐車する方式であり、パレットが上下に動いてスペースが確保されます。
ピット式の機械式駐車場には、2段式や3段式といったものがあり、2段式の場合は地上に1パレット、地下に1パレットが縦列で並ぶ仕組みです。そして、3段式の場合は、地上に2段、地下に1パレット並びます。
機械式駐車場の中ではメジャーな方式であり、マンションなどでも採用されています。また、ほかの方式の機械式駐車場よりも早く車を出せるのが特徴です。
昇降横行式
昇降横行式の機械式駐車場は、車を格納するために複数の動作を組み合わせたシステムです。昇降横行式は、ピット式のように縦列の動きをすることに加え、左右にもパレットが動く仕組みとなっています。
上下左右にパレットが動くので、限られたスペースの中で複数の車両を駐車できるといったメリットがあります。そのため、都市部などの敷地面積を確保できないエリアで採用されるケースが多いでしょう。
ただ、上下左右にパレットが動くことから、ピット式よりも車を出せるまでに時間がかかってしまいます。
エレベーター方式
エレベーター方式は複数の駐車室(パレット)を立体的に配置した駐車方式です。内部には搬送装置が設置されており、エレベーターのように上下移動します。
タワー型の駐車場であることから、狭い面積の敷地であっても上部にスペースを確保できれば、複数の車両を格納することが可能です。また、エレベーター方式はシャッターが取り付けられており、人が内部に侵入することができないようになっています。
そのため、優れたセキュリティ性を確保できるのもエレベーター方式の特徴といえるでしょう。なお、建物内部に車が格納されるので天候の影響を受けないのもメリットです。
垂直循環方式
垂直循環方式は、駐車室を垂直面内に配置させる駐車方式です。エレベーター方式のように上下移動をするのではなく、円形を描くように駐車室が循環します。
基本的な特徴はエレベーター方式と同じです。高いセキュリティ性を確保できたり、天候の影響を受けにくいといったメリットがあります。
立体駐車場のメリット
立体駐車場のうち、自走式駐車場については、駐車スタッフを常駐させる必要がないので人件費を抑えられるメリットがあります。また、機械式駐車場に比べると複雑な設備が必要ないため、建設費用を抑えられるのも利点です。
また、機械式駐車場のメリットとして挙げられるのは、限られた敷地面積でも複数の車両を駐車できる点です。そのため、とくに都市部などの土地を確保しにくいところで採用されることが多いでしょう。
立体駐車場のデメリット
立体駐車場を建設するにあたり、メリットだけでなくデメリットについても理解しておくことが大切です。
立体駐車場のうち、機械式駐車場のデメリットとして挙げられるのは入出庫の時間がかかる点です。機械を操作して入出庫させなければならず、1台ずつしか入出庫できないことが一般的なため、時間がかかってしまいます。
また、パレットのサイズに制限があるので、車種によっては駐車できないといったケースも珍しくありません。そのほか、機械が故障してしまったら、復旧するまで車を入出庫させられないのもデメリットとして挙げられます。
なお、自走式駐車場のデメリットとして挙げられるのは、一定の敷地面積が必要な点です。たくさんの車両を駐車させるためには、それだけのスペースが必要になります。
立体駐車場の費用の目安
ここまでは立体駐車場のさまざまな種類について紹介しました。ただ、立体駐車場を建設するには、どれくらいの費用がかかるのか気になる方が多いでしょう。
どれくらいの台数を駐車するか、そして敷地面積によっても異なりますが、立体駐車場のうち自走式駐車場の建設費用の目安は、1,000~2,000㎡で築造×10万円程度となります。
一方、機械式駐車場の場合は、1台あたり100〜500万円程度かかることが一般的です。どの方式を採用するかによって変わりますが、エレベーター方式や垂直循環方式といったタワー型の駐車場の建設費用は高くなる傾向にあるでしょう。
立体駐車場の建設で必要な面積
立体駐車場の建設費用の目安は理解できたものの、実際にどれくらいの敷地面積が必要なのか知りたい方も多いでしょう。
たとえば、自走式駐車場の場合、1台あたり20〜25㎡の面積が必要となります。もちろん、どれくらいのスペースを確保するかによって変わりますが、1台あたり20〜25㎡ほどあれば自走式駐車場の建設が可能です。
また、機械式駐車場のうち、ピット式や昇降横行式の場合は横に駐車スペースが広がるので、駐車台数に応じた敷地面積が必要です。一方、エレベーター方式や垂直循環方式の場合は、上下移動や上下に垂直循環します。そのため、狭い面積であっても上部にスペースを確保できれば、たくさんの車を格納することが可能です。
立体駐車場の注意点とリスク
立体駐車場の種類によっては駐車スペースが限られていることから、車種によっては駐車できないケースがあります。近年では車の大型化が進んでおり、停められないケースも珍しくありません。
とくに、全幅がオーバーしてしまったり、高さ制限にひっかかったりしてしまって駐車できないことがあります。また、改造車やエアロ付き車については、車高の問題で駐車できないこともあるでしょう。
そのほか、入出庫時に事故が発生するリスクについても留意しておかなければなりません。実際に自走式駐車場から車両が落下した事例があったり、機械式駐車場に人がいる状態で機械が動いてしまったりなどのトラブルがあります。
駐車場を建設するときは、注意喚起も徹底することが大切です。
まとめ
ひとえに立体駐車場といっても、自走式駐車場や機械式駐車場といったように大きくわけて2種類の駐車場があります。自走式駐車場はドライバーが運転して駐車するので、複雑な設備が必要なく、初期費用を抑えて建設することが可能です。一方、機械式駐車場は昇降機などの設備が必要なので、自走式駐車場と比べると初期費用が高くなる傾向にあります。ただ、限られた面積でも建設が可能なので、土地を有効活用できるといったメリットがあります。今回紹介した立体駐車場の種類や、費用の目安をぜひ参考にしてください。