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機械式駐車場の平面化とは?
「機械式駐車場の平面化」とは、機械式の駐車装置を取り除き、平面に駐車できるスペースへと変更する工事を指します。マンションなどに設置されている機械式駐車場には、上下に車両を格納する多段式や地下部分に車両を収容するピット式などがあります。
限られた敷地に多くの駐車台数を確保できる一方、設備を維持するためには定期的な点検や部品交換、修繕が欠かせません。経年劣化が進むと故障リスクが高まり、修繕費用がかさむという課題が生じます。
平面化工事では、機械設備を撤去したうえで、ピット部分の埋め戻しや鋼製の床板を設置するなどして、車両を直接駐車できるスペースへと変更します。駐車できる台数は減少するものの、機械設備がなくなることで維持管理の負担が軽減されます。
そのため、機械式駐車場の老朽化や利用状況の変化に伴い、平面化を検討するマンションが増えてきています。
機械式駐車場を平面化する理由
機械式駐車場は限られたスペースを有効活用できる反面、設置後も継続的な維持管理が必要です。また、マンションの築年数や居住者のライフスタイルの変化によって、必要な駐車台数や求められる駐車スペースが変わるケースも少なくありません。
機械式駐車場を撤去して平置きの駐車スペースに変更することで、設備の管理負担を軽減でき、より使いやすい駐車環境を整えられます。
機械式駐車場の維持・修繕コストを削減するため
機械式駐車場では、安全に利用するための定期点検に加え、消耗した部品の交換や故障時の修理などが必要です。さらに、設備の老朽化が進めば大規模な修繕や設備更新が必要となり、マンションの管理組合にとって大きな負担となる可能性があります。
とくに利用率が低下している機械式駐車場では、少ない利用者のために高額な維持・修繕費を負担し続けることになりかねません。平面化によって機械設備そのものを撤去すれば、部品交換などにかかる費用を削減でき、長期的な維持管理の負担軽減につながります。
利用者の減少や車両サイズの変化に対応するため
居住者の高齢化やライフスタイルの変化、公共交通機関の利用などによって、駐車場の利用者数が減少しているマンションは少なくありません。空き区画が増えているにもかかわらず、設備の維持管理には多額の出費が必要であり、管理組合の会計を圧迫しているケースも多くあります。
また、近年普及しているSUVやミニバン、RV車などは、車高や車幅、重量などの制限によって機械式駐車場に収容できないこともあります。そのため、駐車スペースに空きがあっても、所有する車両が対応しておらず利用できないケースも考えられます。
必要な駐車台数を見直したうえで平面化すれば、現在の利用実態に合った駐車場へ変更できます。
機械式駐車場を平面化するメリット
機械式駐車場を平面化することで、設備の維持にかかる費用や管理の手間を抑えられるほか、利用者にとって駐車しやすくなるなどのメリットがあります。
維持管理コストを削減できる
機械式駐車場を安全に使い続けるためには、定期的な保守点検や部品交換、修繕が欠かせません。設備の老朽化が進むほど修繕箇所が増え、大規模な改修や設備更新によって多額の出費が発生する可能性があります。
平面化によって機械設備を撤去することで、こうした継続的な維持管理費用を削減できます。長期的に必要となるコストを抑えられるため、管理組合の財政負担を軽減できる点は大きなメリットです。
管理業務の負担が軽減される
機械式駐車場では、保守点検や修繕の手配、故障時の対応など、管理組合や管理会社にさまざまな管理業務が発生します。設備に不具合が生じた場合には、修理業者との調整や利用者への案内なども必要です。
平面化すれば機械設備に関する点検や故障対応が不要になるため、管理業務が簡素化されます。設備の老朽化に伴うトラブル対応も減少するため、管理側の負担軽減につながります。
利便性が高まる
平面駐車場は、機械を操作して車両を出し入れする必要がなく、そのまま駐車・出庫できます。入出庫にかかる待ち時間が短くなり、日常的に車を利用する方にとって利便性が向上します。
また、機械式駐車場のような車高や車幅、重量などの厳しい制限がないため、SUVやミニバンなどの比較的大きな車両を駐車できる点もメリットのひとつです。
機械式駐車場を平面化するデメリット・注意点
機械式駐車場の平面化には多くのメリットがある一方、マンションの状況によっては不便に感じることもあります。平面化したあとに元の状態に戻すことは難しいため、将来的な駐車場需要も踏まえて慎重に検討することが大切です。
駐車できる台数が減少する
機械式駐車場は、車両を上下などに配置することで、限られたスペースに多くの駐車台数を確保できるという特徴があります。そのため、平面化すると基本的に駐車台数は減少します。
現在は空き区画が多くても、将来的に居住者が入れ替わることで駐車場の需要が増える可能性もあります。必要な台数を確保できなくなると、住民にとって不便な状況が続くため注意が必要です。
現在の利用率だけで判断するのではなく、将来的な需要も予測したうえで平面化する範囲を決めることが重要です。
初期費用や工事期間の負担が発生する
平面化を行う際は、駐車装置の撤去に加えて、地下ピットの処理や路面の整備なども行うため、工事時に一定の費用がかかります。工法や設備の規模、現場の状況によって必要な費用は異なるため、あらかじめ複数社に見積もりを取り、費用対効果を確認することが大切です。
また、工事期間中は駐車スペースを利用できない点にも注意が必要です。居住者が使用している場合には、一時的な代替駐車場を確保しなければなりません。
工事前には費用だけでなく、工期や利用者への影響についても確認しておきましょう。
機械式駐車場の平面化にかかる費用
機械式駐車場の平面化にかかる費用は、駐車場の規模や採用する工法、現場の施工条件などによって大きく異なります。また、平面化工事だけでなく、既存の機械式駐車設備を撤去するための費用も必要です。
ここでは、撤去費用と代表的な平面化工法である「鋼製平面化工法」「埋め戻し工法」の費用相場を紹介します。
撤去費用の相場
機械式駐車場の撤去費用は、装置の方式や収容台数によって大きく変動します。目安として、小規模な2段式で8台程度を収容できる設備の場合は150万~400万円程度、24台ほどであれば250万~500万円ほど見込んでおくとよいでしょう。32台ほどの規模になると850万~1,500万円程度かかるケースもあります。
ただし、同じ規模でも施工条件によって費用に差が生じます。大型重機を搬入できるか、撤去した設備をスムーズに搬出できるかといった条件のほか、工期や人件費、撤去した金属の処分・買取価格なども費用を左右する要素です。
適正な費用を把握するためには、複数の施工業者から見積もりを取り、工事内容と見積金額を比較することが大切です。
鋼製平面化工法の費用相場
鋼製平面化工法は、機械式駐車場を撤去したあとのピットに鋼製の支柱や床板を設置し、直接地面に駐車できるようにする方法です。鋼材や床板などの材料費が必要となるため、埋め戻し工法と比べて費用は高い傾向があります。
費用の目安は、平面化後の駐車区画1台あたり100万~150万円程度です。たとえば、平面化によって5台分の駐車スペースを設ける場合、500万~750万円程度がひとつの目安となります。なお、既存設備の撤去費用は別途必要になるケースがほとんどです。
また、施工面積や搬入経路などによっても金額が変動するため、現場ごとに見積もりを取ることが大切です。
埋め戻し工法の費用相場
埋め戻し工法は、機械式駐車場を撤去したあとのピットを砕石などで埋め、その上を舗装して平面駐車場にする方法です。一般的に鋼製平面化よりも費用を抑えやすく、条件によっては鋼製平面化工法の半分程度の費用で施工できる場合もあります。
ただし、ピットの深さや広さ、使用する材料などによってかかる費用は異なります。地盤の状態によっては調査や補強が必要となり、追加費用が発生する場合もあります。
そのため、単純な工事価格だけで比較するのではなく、建物の構造や地盤、将来的な利用方法まで考慮したうえで工法を選ぶようにしましょう。
機械式駐車場を平面化する方法
機械式駐車場を平面化する代表的な方法には、「鋼製平面化工法」と「埋め戻し工法」があります。どちらも既存の機械式駐車設備を撤去して平面駐車場に変更する方法ですが、地下ピットの処理方法が大きく異なります。
工法によって費用や工期だけでなく、将来的な設備の再利用のしやすさなども変わるため、それぞれの特徴を理解して選択することが大切です。
鋼製平面化工法
鋼製平面化工法とは、機械式駐車設備を撤去したあとの地下ピットに鉄骨の柱や梁を設置し、その上に鋼製の床板を敷いて平らな駐車スペースをつくる工法です。ピットを土砂などで埋めないため、構造物にかかる重量を抑えやすく、比較的短期間で施工できる特徴があります。
また、地下ピットを残したまま施工するため、将来的に再利用しやすい点もメリットです。一方、鋼材などの材料が必要となるため、埋め戻し工法より施工費用が高くなる傾向があります。床面には安全性を考慮し、滑り止めなどの処理が必要になる場合もあります。
埋め戻し工法
埋め戻し工法とは、機械式駐車設備を撤去したあとの地下ピットに砕石などを投入して埋め戻し、表面をアスファルトやコンクリートなどで舗装する工法です。鋼製平面化工法と比べて構造がシンプルで、施工費用を抑えやすい点がメリットです。
一方、元の状態に戻すことが難しく、将来的に機械式駐車場を再設置したい場合には対応が難しくなります。また、ピットの構造や地盤の状態によっては埋め戻しが適さないケースもあるため、事前に現場の状況を確認したうえで工法を選ぶ必要があります。
機械式駐車場の平面化工事の流れ
機械式駐車場の解体・平面化工事の一般的な流れを紹介します。
設計・施工業者の選定(総会可決後3~6か月)
まずは、設計と施工を依頼する業者を選定します。その際、複数の専門業者から相見積もりを取ることが重要です。複数の見積もりを比較することで、適正価格を把握しやすくなります。
また、業者を選ぶ際には、機械式駐車場の平面化工事の施工実績や採用する工法、工事中の住民への影響、振動への対策に加え、アフターメンテナンス体制を確認しましょう。
現地調査・実施設計(2~3か月)
設計業者が決まったら、現地調査へと進みます。地盤の支持力や地下水位、周辺建物との距離などを確認したうえで、採用する工法を決定します。
また、附置義務条例への適合確認と必要な行政手続きも並行して進めましょう。
利用者との契約解除手続き(工事開始の2~3か月前)
工事が始まる前に、機械式駐車場の利用者に対し、駐車場使用契約の解除を行います。解約予告期間内に発送します。
その際、近隣のコインパーキングや月極駐車場など、代替駐車場の案内もあわせて行うことで、住民の不満を最小限に抑えられるでしょう。
工事開始(1~2か月)
まず工事区画の設定、仮設フェンス・工事標識の設置、住民への工事スケジュールと注意事項の周知を行います。次に、制御盤や配線などの電気設備を撤去し、駐車パレット・駆動装置・昇降機構の解体・撤去へと進みます。重機を使用するため、騒音・振動への対策に加え、近隣への事前告知が欠かせません。
続いて、工法に応じた作業を行います。埋め戻し工法の場合は土砂あるいは軽量骨材によるピット充填とアスファルト塗装、鋼製平面化工法の場合は鉄骨フレームの組み立ておよび鋼製床板の設置を行います。
最後に、仕上げ作業として、駐車場の白線引きや車止めの設置、照明設備の更新などを実施し、施工業者・管理組合立会いのもと竣工検査は行われます。
工事完了後の手続き
工作物除去後の手続きが必要な場合は、速やかに自治体に届け出を行います。また、機械式駐車場にかかる修繕費用を計画から削除し、平面化後の維持管理費用を反映した長期修繕計画を作成します。
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、30年以上の計画期間で2階以上の大規模修繕工事が含まれることが推奨されているため、この機会に計画全体の見直しを行うとよいでしょう。
機械式駐車場を平面化する前に確認したいこと
機械式駐車場の平面化を実施する前に、確認したいポイントを2つ紹介します。
建物構造・地盤への影響
機械式駐車場を平面化する際は、工事を始める前に建物の構造や地盤への影響を確認することが重要です。特に埋め戻し工法では、ピット内に砕石などを充填するため、その重量によって地盤や建物に負荷がかかる可能性があります。地盤の状態によっては沈下などのリスクが生じ、埋め戻し工法を採用できないケースもあります。
そのため、マンションの設計図書や既存の地盤調査資料などを確認し、必要に応じて専門家による調査や構造上の検討を行いましょう。埋め戻しが適さない場合には、比較的軽量な鋼材を使用して床面をつくる鋼製平面化工法など、建物や地盤への負担を考慮した工法を検討する必要があります。
現行利用者への対応
機械式駐車場に利用中の区画がある場合は、利用者への説明や代替駐車場の確保も必要です。工事期間中は対象区画を利用できなくなるため、近隣の月極駐車場を一時的に借りるなど、利用者への負担を抑える対応を検討しましょう。
また、平面化によって駐車できる台数が減少する場合は、工事後の利用方法についても事前に決めておかなければなりません。希望者が区画数を上回る場合の抽選方法や利用料金などについて管理組合で話し合い、既存利用者を含めた住民の理解を得ながら進めることが大切です。
機械式駐車場を平面化すべきケースとは?
機械式駐車場の平面化は、駐車場の利用率が低下し、維持管理の負担が大きくなっている場合に検討するのがおすすめです。とくに空き区画が増えているにもかかわらず、定期点検や修繕、部品交換などに継続的な費用がかかっている場合は、平面化によって将来的なコストを削減できる可能性があります。
また、設備の老朽化によって大規模な修繕や設備更新が必要になったタイミングも、平面化を検討する機会です。高額な費用をかけて機械式駐車場を維持するよりも、利用状況に合わせて平置き駐車場へ変更したほうが、長期的な負担を抑えられるケースがあります。
さらに、近年は車離れや高齢化に加え、機械式駐車場のサイズ制限によって大型車やSUVなどを駐車できず、空き区画が生じるマンションもあります。現在の利用率だけでなく、今後必要となる修繕費や住民の駐車ニーズも踏まえ、維持・更新・平面化のどれが適しているか総合的に判断しましょう。
機械式駐車場の平面化に関するよくある質問
機械式駐車場の平面化を検討する際は、工事期間や費用面について疑問を感じる方も多いでしょう。ここでは、平面化工事に関するよくある質問を紹介します。
平面化工事にはどれくらいの期間がかかる?
機械式駐車場の平面化工事にかかる期間は、一般的に1〜2カ月程度が目安です。ただし、機械式駐車装置の種類や規模、採用する平面化工法、現場の状況などによって工期は異なります。
また、実際の工事期間だけでなく、事前調査や施工会社の選定、管理組合での合意形成などにも時間が必要です。現在の利用者がいる場合には、工事期間中の代替駐車場の確保や車両移動の調整も行わなければなりません。工事を検討する際は、準備期間も含めて余裕のあるスケジュールを立てましょう。
平面化工事に補助金や助成制度は使える?
自治体によっては、機械式駐車場の撤去や改修に利用できる補助金・助成制度が設けられている場合があります。ただし、制度の有無や対象となる工事、補助金額、申請条件などは自治体によって異なります。
また、補助制度を利用する場合は、工事の契約や着工前に申請が必要となるケースもあります。平面化を検討する段階でマンション所在地の自治体に確認し、利用できる制度がある場合は申請時期や必要書類についても確認しておきましょう。
まとめ
機械式駐車場の平面化は、老朽化した設備の維持管理費や修繕費を削減するための有効な選択肢です。鋼製平面化工法や埋め戻し工法などがあり、建物の構造や地盤、予算に応じて適切な方法を選ぶ必要があります。
平面化を検討する際は、現在の利用状況や将来的な駐車ニーズ、工事費用などを総合的に比較することが大切です。管理組合や利用者と十分に話し合い、長期的な視点でマンションに適した方法を検討しましょう。
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引用元:https://www.parkingsystem.jp/
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