機械式駐車場のトラブルとは?実際の事故の事例も含めて解説

公開日:2026/07/07
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機械式駐車場は、限られた敷地でも多くの車両を収容できることから、マンションや商業施設などで広く導入されています。しかし、その一方で設備の故障や操作ミス、安全確認不足による事故やトラブルも発生しており、利用者・管理者の双方に適切な安全対策が欠かせません。

近年は重大事故も報告されており、安全性への関心はますます高まっています。ここでは、機械式駐車場で起こりやすいトラブルや実際の事故例、事故件数の推移、安全対策、そして安全性を重視したメーカー選びのポイントについて詳しく解説します。

機械式駐車場ではどのようなトラブルが発生している?

機械式駐車場は限られたスペースで多くの駐車区画を確保できるなど便利な一方で、注意点もあります。ここでは、どのようなトラブルが発生しているのか、具体的に紹介します。

サイズオーバーの車両を入庫する

機械式駐車場は、収容できる車両のサイズが定められています。既定のサイズを超える車両を入庫すると、パレットや駐車装置などにぶつかり、車両や駐車場を破損するおそれがあります。

なかには、車両と駐車場がぶつかる前に安全装置が作動し、パレットが停止するケースもあります。「サイズオーバーでも入庫できた」と思っていても、安全装置が働くことで次の利用者が駐車できなくなる可能性があります。

車両サイズは、車検証で確認すると確実ですが、アンテナやスペアタイヤなどを搭載している場合は注意が必要です。実寸で計測したうえで利用することを徹底しましょう。

入庫するパレットを間違える

入庫するパレットを間違えることで発生するトラブルも多く聞かれます。機械式駐車場はパレットごとに収容可能サイズが定められており、パレットを間違えることでサイズオーバーになる場合があります。

また、誤ったパレットに入庫することで、本来の利用者が駐車できなくなってしまいます。駐車場利用者とのトラブルにもつながりかねないため、注意しましょう。

人身事故が発生する

機械式駐車場は自動で動作しますが、人身事故が発生するおそれがあります。たとえば、駐車場内に人が閉じ込められたり、すき間から落下したりと、命の危険にさらされるケースも少なくありません。

国土交通省の調査によると、2007年以降、重症以上の事故は少なくとも30件以上発生しており、そのうち10件以上は死亡事故となっています。その大半はマンションの駐車場で発生しています。

その原因は、主に「人為的ミス」と「安全装置の未設置」によるものとされています。車を出し入れする際に、人が機械の中や危険な場所に取り残されていることに気づかず、動かしてしまったり、子どもが遊んでいたりすると事故が起こる可能性があります。

また、古い設備だと、センサーやドアのロックといった安全対策が十分とられていないケースもあります。装置内に人がいないか確認する、操作中はボタンから手を離さないなどのルールを守ることが重要です。

停電時に使用できない

停電時には機械式駐車場を使えない点には注意が必要です。短時間で復旧するレベルであれば問題ありませんが、長期にわたると車での移動ができなくなることもあります。停電時に備えて、代わりの駐車場を探しておくと安心です。

また、機械式駐車場の操作中に停電した場合、パレットは途中で停止します。正常な位置で止まっていない場合、段差やすき間から落下するといった事故が起こる可能性があります。万が一危険な状態で停止した際には、管理会社や駐車場の保守会社に迅速に連絡しましょう。

入出庫に時間がかかる

機械式駐車場は、多くの車両を駐車できる一方で、入出庫に時間がかかるというデメリットがあります。とくに、入庫できる台数が多い駐車場や入出庫口から遠いパレットに停めている場合は、待ち時間が長くなりやすいです。

朝の出勤時間は利用者が増えるため駐車場が混みやすく、利用者同士のトラブルにもつながりかねません。空いている時間帯であっても、昇降横行式や垂直循環方式だと停めるたびに待ち時間が異なります。早めに駐車場に向かうなどの対策が必要です。

台風や豪雨で車が水没する

地下に駐車する場合、台風や豪雨などの災害によって水没するおそれがあります。排水設備が設置されているため、通常の雨量であれば心配いりませんが、排水が間に合わないほどの大雨だと地下に水が溜まって車両が水没してしまうこともあります。

車両が浸水すると、高額な修理代や買い替え費用が必要になります。激しい雨で操作盤が制御されることもあるため、大雨の予報を確認したら事前に車を移動しておくと安心です。

なお、災害などで車両が水没した場合には、保険が適用されます。個人で加入している車両保険のほか、管理組合で加入するマンション総合保険の機械式駐車場水災補償が適用される可能性があります。ハザードマップで水害の可能性があるか確認し、想定区域の場合は保険の加入を検討しましょう。

センサーが作動して停止する

機械式駐車場には、危険を感知するセンサーが搭載されています。「ドアミラーがたたまれていない」「半開きのドアが開いた」などの異常を感知すると、センサーが作動して駐車場全体が停止することもあります。

駐車した本人は気づいておらず、原因がわかるまでに時間を要するケースも少なくありません。問題解決まで入出庫ができないため、管理会社から損害賠償を請求される可能性も考えられます。

利用者間のトラブルにもつながりかねないため、駐車する際には車両の状態をしっかりと確認しておくことが大切です。

実際に最近発生した機械式駐車場の事故事例

機械式駐車場は限られたスペースを有効活用できる便利な設備ですが、近年も重大な事故が発生しています。設備の故障や操作ミス、安全確認不足など、さまざまな要因が重なることで人身事故が発生するケースも少なくありません。

ここでは、実際に発生した事故を紹介するとともに、事故の原因や対策について解説します。

パレットのワイヤーが切れる事故

2026年5月、長崎市のマンションに設置された機械式駐車場で、パレットを支えるワイヤーが切れ、駐車していた車が落下する事故が発生しました。事故当時、利用者は車を1階に駐車し、パレットが約1メートル上昇したことを確認してその場を離れました。

しかし、その直後に大きな音がしたため戻ってみると、車が落下していたとのことです。幸いにもけが人は発生しませんでしたが、警察は機械設備の故障が原因と考えられると発表しています。

ワイヤーなどの重要部品が経年劣化や故障によって破損すると、大きな事故につながるおそれがあります。事故を防ぐためには、定期点検や部品交換を適切な時期に実施することが重要です。

ベビーカーが落下する事故

2025年9月には、大阪市の機械式駐車場でベビーカーが落下し、生後6か月の女児が重傷を負う事故が発生しました。母親が駐車したあと、後部座席から女児を下ろしてベビーカーに乗せたところ、駐車場のシャッターが閉まり、パレットが動き始めました。その結果、床面にすき間ができ、ベビーカーごと約30センチ下に落下し、女児は頭がい骨を骨折する重傷を負いました。

事故当時、従業員が設備を操作しており、センサーも設置されていましたが、事故を防ぐことはできませんでした。安全装置に頼るのではなく、利用者や従業員による安全確認を徹底し、適切に誘導することが事故防止につながります

機械式駐車場で事故が起こる主な原因

機械式駐車場で事故が発生する原因は、大きく分けて「設備の不具合」と「人的ミス」の2つです。設備の不具合とは、ワイヤーやチェーン、モニターなどの部品が経年劣化によって破損したり、安全装置が正常に作動しなかったりするケースのことです。定期点検が十分に行われていない場合、こうした異常を見逃し、重大事故につながるおそれがあります。

一方、人的ミスとしては、安全確認が不十分なまま設備を操作したり、利用者がパレットの稼働範囲に立ち入ったりするケースが挙げられます。また、子どもやベビーカーが駐車場内に残っていることに気づかず機械を動かしてしまうことも、重大事故につながる要因です。

機械式駐車場の事故を防ぐための対策

メーカーでつくる業界団体の報告をもとにした国土交通省の集計によると、2007年以降、機械式駐車場での死傷事故は54件発生しています。そのうち、死亡事故は16件で、4件は子どもが亡くなっています。

機械式駐車場での事故原因として最も多いのは「駐車装置内に人がいる状態で機械が作動」とされています。次いで「作動中の装置に侵入・接触」と続いています。

このように、事故原因の大半は人的ミスによるものといわれており、事故を防ぐには管理者と利用者の双方が安全対策を徹底することが重要です。管理者は、法令やメーカーの基準に沿って定期点検や部品交換を実施し、異常が見つかった場合は速やかに修理を行う必要があります。また、センサーや非常停止装置などの安全設備についても、正常に作動するか定期的に確認することが大切です。

利用者は、機械が完全に停止してから乗り降りすることや、子どもやベビーカーをパレット周辺に置かないことを徹底しましょう。また、異音や異常な振動、設備の不具合を見つけた場合は無理に使用せず、管理会社へ速やかに連絡することが事故防止につながります。日頃から設備の点検と安全確認を徹底することで、重大事故の発生リスクを大きく減らすことができるでしょう。

事故を防ぐためのメーカーの取り組み

近年は、機械式駐車場での事故を防ぐために、メーカー各社が安全性の向上に取り組んでいます。その一例として、AIを活用した安全管理システムの開発が進められています。

そのひとつが、カメラ映像をAIが解析し、利用者の降車状況や駐車装置内への立ち入りを検知するシステムです。装置内に人がいることを確認すると警報音を鳴らし、機械を自動停止させる仕組みとなっており、人感センサーだけでは検知が難しかったケースにも対応できると期待されています。

しかし、どれだけ安全技術が進歩しても、機械の故障や想定外のトラブルが発生する可能性をゼロにすることはできません。そのため、安全設備の導入に加えて、利用者や管理者が正しい利用方法や安全ルールを守ることも重要です。設備の定期点検とあわせて安全意識を高めることで、事故の発生リスクをさらに低減できるでしょう。

機械式駐車場の重大事故件数の推移

機械式駐車場での事故は最近も発生しています。なかには子どもがケガをする重大事故もあり、安全性の確保が重要な課題となっています。

ここでは、機械式駐車場での事故件数の推移と現状、安全対策について解説します。

重大事故件数の推移

国土交通省の公表資料によると、2007年以降に発生した機械式立体駐車場での重大事故は53件、そのうち16件が死亡事故となっています。事故件数は年によって増減があるものの、2012年には最も多くの重大事故が発生しました。その後、一時的に事故件数が減少した年もありますが、最近も毎年のように事故が発生しており、依然として安全対策が必要な状況です。

また、事故の内容もさまざまで、設備の故障による車両の落下事故だけでなく、利用者が可動部分に巻き込まれる事故や、子どもやベビーカーが巻き込まれる事故なども報告されています。このことから、設備だけでなく利用方法にも注意が必要であることがわかります。

事故件数から見える現状と課題

機械式駐車場の重大事故は減少傾向にあるとは言い切れず、現在も継続的に発生しています。設備の老朽化による故障だけでなく、安全確認不足や操作ミスなど、人的要因が事故につながるケースも少なくありません。

近年では、子どもを残したまま運転手が駐車装置を作動させたことで子どもが重傷を負う事故や運転手が装置内に人がいることに気づかず作動させ、閉じ込められた管理人がケガを負った事故などが発生しています。これらの事例からも、設備の維持管理と利用者・管理者双方による安全確認の重要性がうかがえます。

また、機械式駐車場は多くの部品が連動して動作するため、一つの部品の不具合が重大事故につながる可能性があります。そのため、日常点検や定期点検を適切に実施し、異常を早期に発見することが事故防止につながります。

2014年に国土交通省が安全対策の指針を策定

2012年に重大事故が相次いで発生したことなどを受け、国土交通省は2014年に機械式立体駐車場の安全対策に関する指針を策定しました。指針では、管理者による定期点検や維持管理の徹底、安全装置の適切な管理、利用者への注意喚起など、安全性を確保するための具体的な対策が示されています。また、設備の老朽化に応じた修繕や部品交換を適切に行うことも求められています。

近年は、AIカメラや高性能センサーを活用し、人の立ち入りを検知すると機械を自動停止させるシステムなど、新たな安全技術の開発も進められています。しかし、安全設備だけで事故を完全に防ぐことは難しいため、管理者による適切な維持管理と、利用者がルールを守って利用することの両方が重要です。

今後も設備の改善と安全意識の向上を継続することで、重大事故のさらなる減少が期待されています。

安全性を重視した機械式駐車場メーカーの選び方

機械式駐車場は長期間にわたって使用する設備であるため、価格だけでなく安全性も重視して選ぶことが大切です。ここでは、安全性を判断する際に押さえておきたいポイントを紹介します。

過去の実績をリサーチする

機械式駐車場メーカーを選ぶ際は、これまでの施工実績や導入実績を確認しましょう。豊富な実績を持つメーカーは、多様な設置環境に対応してきたノウハウを有しており、安全性や品質にも期待できます。

また、過去に重大事故や大規模なトラブルが発生していないか、安全対策にどのように取り組んでいるかを確認することも重要です。定期点検やメンテナンス体制、故障時のサポート体制などもあわせて比較することで、導入後も安心して利用できるでしょう。

国土交通省の大臣認定を取得しているか確認する

機械式駐車場を選ぶ際は、国土交通大臣認定を受けた製品かどうかも確認しましょう。大臣認定は、駐車場法施行令に基づき、機械式駐車装置が安全機能に関する基準を満たしていることを認める制度です。基準に適合した装置のみが認定を受けられるため、安全性を判断する一つの目安になります。

そのため、機械式駐車場を導入する際は、安全基準をクリアし、国土交通大臣認定を受けた装置を取り扱っているメーカーを選ぶことをおすすめします。

まとめ

機械式駐車場は利便性の高い設備ですが、安全に利用するためには設備の性能だけでなく、管理体制や利用者ひとりひとりの安全意識も必須となるでしょう。

近年はAIや高性能センサーなどの安全技術が進歩しているものの、人的ミスによる事故は依然として発生しています。管理者による定期点検や適切なメンテナンス、利用者によるルールの遵守を徹底することで、事故のリスクを大きく減らすことができるでしょう。

機械式駐車場を導入・利用する際は、安全性や保守体制まで含めて総合的に比較・検討することが大切です。

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